How much time と How long の使われ方はよく似ています。
例えば、以下のような文であれば、How much time と How long、どちらを使ってもOKです。
<例文1>
How long does it usually take to get to your office?
How much time does it usually take to get to your office?
訳)職場までどれくらいかけて通勤していますか?
※ただし、例文1に関して言えば、どちらかと言うと How long の方が好まれるし、より普通の言い方
では、How much time と How long を区別しなくてはいけないときは、どんな場合でしょうか?
以下から説明したいと思います。
How much time と How long の違いは「品詞」
How much time は「名詞」。
How long は「名詞」であり「副詞」です。
一言でいうと、違いはこれだけです。
では、こういう違いがあることによって、何に注意しなくてはならないでしょうか?
How much time は「名詞」
How much time が名詞であることを理解するために、以下の例文を検討してみましょう。
<例文2>
How much time do you spend (in) getting to work each day?
訳)毎日職場に行くのにどれくらい時間をかけていますか?
例文2を肯定文に直してみます。
<例文3>
You spend 25 minutes in getting to work each day.
訳)あなたは毎日職場に行くのに25分を費やしています。
もうお分かりだと思いますが、spend の目的語である 25 minutes が how much time に相当しています。
さらに 25 minutes というのは名詞ですから、how much time は名詞であるという理解になります。
How long は「名詞」そして「副詞」でもある
How long を「名詞」として用いている例として、以下を参考にしてみてください。
<例文4>
How long do you spend in traffic each day?
訳)毎日どれくらいの時間運転していますか?
例文4の場合、spend の目的語は how long に相当します。
目的語というのは名詞以外あり得ませんから、この場合の how long は紛れもなく名詞であります。
では次に、How long を「副詞」として用いている例文をご紹介します。
<例文5>
How long have you been working for ABC-XYZ Corporation?
訳)ABC-XYZ社で働いてどれくらいになりますか?
例文5を肯定文に直してみましょう。
<例文6>
You have been working for ABC-XYZ Corporation for almost 10 years.
訳)あなたはABC-XYZ社で約10年働いています。
例文5と6を比較してみると、how long に相当するのは for almost 10 years ですね。そして、これは副詞です。
つまり、例文5における How long は副詞であるということになります。
ということは例文5の How long を How much time に置き換えることはできません。
なぜなら副詞を名詞で置き換えることは出来ないからです。
以上が、How long が「名詞」だったり「副詞」だったりする理由です。
文法はしょせん後付けの理論
英語の文法を学習していると、その文法ルールがあたかも初めからそのように定義されているかのように思ってしまうことがありますが、文法は所詮後付けの理論です。
例えば How long が「名詞」だったり「副詞」だったりする理由も、おそらく「副詞」の意味が最初にあったが、「名詞」のように使う人が増えてきたため、いつの頃からかそれが既成事実化したのではないかと想像しています。
そのように、当初の定義が捻じ曲げられることは言語の世界ではよくあることです。
How long do you get to work? は誤り
最後に問題です。
例文1を以下のように書き換えることはできるでしょうか?
How long do you usually get to your office?
この場合の How long は「名詞」と解釈しても、「副詞」と解釈しても、正しい文になることはありません。
よって、この文は完全な誤りです(でも、これでもネイティブに通じますが…)。
ただ、この文もいつしか既成事実化する可能性もゼロではないでしょう。