まずはデータを集めてよう!分かり過ぎるほどわかる統計的品質管理のキホン

工程を改善するための方策など、何かを決断しなくてはいけないとき、勘や経験だけに頼っちゃいけない。

 

まずは、データを集めて「事実」をしっかり把握する必要がある。

 

データを見れば何か変なことが起こっていることがわかるかもしれないからね。どこに問題があるかを見極めるのにデータが役に立つわけだね。

 

さあ、このページでは、工程を改善するのにより良い決断を下すため、どうやってデータを集めればいいのか解説するよ。

 

このページも読むと、次のようなことがわかるよ。

 

  • データを集めて問題の原因を特定し、工程を監視するのが大事
  • データはざっくり分類して2種類ある

 

それでは力を抜いて、行ってみよう!

 

 

 

どうやってデータを集めればいい?

データを集める目的は2つあるよ

 

  • 問題を特定し、解決するため
  • 工程を監視し、改善するため

 

この2つのことをやるために、データを集める必要があるんだね。

 

 

目的その1.問題の正体を特定し、解決せよ

問題を特定し解決するためにデータを集めるのは、実は探偵とか刑事さんの仕事とそっくりだ。

 

例えば、シャーロック・ホームズとか、古畑任三郎とかね。知ってるかな・・・?

 

探偵や刑事さんは、「手がかり」を探すよね。「手がかりは」があれば、容疑者のリストから、可能性の低い容疑者を外すことができるからね。

 

最終的に効果的な手がかりが見つかれば、容疑者を最後の1人に絞り込めるわけだ。

 

同じプロセスが、我々の職場でも必要なんだ。

 

必要十分なデータをちゃーんと集めて、問題の原因をみつけてれば、どうやったらそれが解決できるかわかるからね。

 

さて、経験から言わせてもらうと、問題っていいうのは大抵、小さな問題の集合体なことが多いんだ。

 

だから我々は、大きな問題に立ち向かうには、

 

  • データを集めて、
  • 注目すべき小さな領域を決めて
  • その領域に関するデータをまた集めて見る

 

ということが必要なんだよ。

 

試しに、見つけた小さな問題を1つでいいから解決してみよう。

 

そしたら、また大きな問題に立ち戻ってデータを集めて、この小さな改善が全体に対して何か作用してないか確認してみよう。

 

結果はどうあれ、このサイクルを繰り返すことで、我々の製品とか工程はどんどん改善されていくわけだ。

 

これが品質管理の基本的な考え方だよ。

 

目的その2.工程を監視し、改善せよ!

データを集める2つ目の理由は、「工程の現在進行形の品質」を監視することだよ。

 

工程とは、我々がゴールを達成するために従うべき手順の集合体のことだったよね。

 

それぞれのステップでデータを集めて、ちゃんと定めたスペックに合格しているかチェックしよう。

 

スペック(Specifications, Spec)とは、その会社や産業界で定められた許容できるばらつきの限界値のことだよ。

 

もし、工程の中に問題を発見したら、すぐに改善してみよう。そしたら、その影響を記録するためにまたデータを取る必要がある。

 

重要なことをまとめるよ。

 

工程を構成する1つ1つのステップを監視することによって、早めに問題を解決することができる。

 

もし、最後の出荷検査ときまで待っていたら、遅過ぎるからね。廃品と修復待ち製品の山は誰も見たくない。

 

1つ1つのステップをちゃんと監視して、廃品とか修復品になりかねない原因を取り除くことができれば、「問題」がすり抜けるのを防ぐことができるわけだ。

 

 

データの2つの型

ここからは、ちょっと専門的な話に入っていくよ。

 

データには大きく分けて2種類ある。このことは、とても重要なことだから是非知っておいてもらいたい。

 

  • 計数値
  • 計量値

 

計数値は「属性データ」とか「離散データ」って言われるときもあるよ。

 

一方、計量値は「変数データ」とか「連続データ」っていうときもあるから念のため覚えておこう。

 

 

計数値って何だ?

計数値とは、その名のとおり1個、2個、3個、…と数えられるデータのこと。英語では「Countable data 」って言う。日本語より、英語のほうがわかりやすいね。

 

計数値の代表例は、「不良品の数」だ。

 

数えられるデータなんだから、ふつうは「整数」になるはずだよね。

 

計数値の例

  • 1000個シャフトを点検したら、14個は真円度が基準以下の不良品だった
  • 500個のボルトを点検したら、3個は取り付けネジ長さが短過ぎる不良品だった
  • 100個の小麦袋を点検したら、2袋は重量が基準値以下だった

 

 

計量値って何?

計量値とは計測器を使って測ることで得られるデータのことだよ。英語では「Measureable data」って言う。

 

例えば、重さ、長さ、時間、温度とかね。

 

計量値は整数である必要はない。例えば、お米が入った2つの箱の重さは5.01キロかもしれない、5.28キロかもしれないわけだ。

 

計量値の例

  • 計測した4つのアルミ棒の長さは、10.02 cm, 10.11 cm, 9.99 cm, 10.00 cm だった
  • 鉄のバルクを機械に投入する速さは 8.11 kg/分, 7.98 kg/分、8.09 kg/分 だった 
  • ピザを焼くためのお釜の温度は 420.2度、421.3度、419.8度 だった

 

 

計数値と計量値のまとめ

簡単に言うと、

 

  • 1個、2個、3個…と数えられるデータは「計数値」
  • 計測器を使って測るデータは「計量値」

 

ということだね。

 

計数値と計量値について、もう少し深く知りたいというマニアックな人は以下の記事を参考にしてみてね。

 

《関連記事》データとは何か? – 計数値 と 計量値

 

 

 

どうやったら正確なデータを集めることができるか?

 

我々がデータを集める理由、それは『品質を改善するために何をすべきか決めるため』だ。

 

でも、集めたデータがちゃんと実際の状況を代表していない限り、正しい判断をすることは無理だよね。

 

正しいデータが得られるように、次の3つのガイドラインがあるよ。

 

集めようとしているデータがちゃんと目的にかなっているかを確認しよう。これは当たり前の話だね。

 

計測器が「正確」で「適切」であることを確認しよう。

 

データを集めるのに使う計測器は当然に正確じゃなきゃいけない。

 

計測器は定期的にチェックして、ちゃんと校正ておこう。

 

あと、計測器は当然、やろうとしていることに対して「適切」である必要がある。

 

どういうことかと言うと、例えば、スペックが0.01グラムのオーダーで指定されていたとしよう。それなのに計測器の最小単位が0.1グラムだったら、具合が悪いわけだ。

 

データに付属する情報はしっかり記録しておこう。

 

データを正しく解析するためには、そのデータが、いつ、どこで、どの計測器を使って、誰によって得られたのか等の情報が必要不可欠だ。あとは、製品のシリアル番号とか、ロット番号とかもね。

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