測定のばらつき: measurement variability
<例文1>
Is this just measurement variability or something else?
訳)これは単なる測定のばらつきでしょうか、それとも別の何かでしょうか?
<例文2>
The P95% of 1.12 mm is mostly measurement variability.
訳)パーセンタイル95%の1.12 mmという値の大部分は測定のばらつきである。
上記の例文では『ばらつき』を意味する名詞として “variability” を使いましたが、 “variation” を使ってもOKです。
“variability” と “variation” の違いについて確認しておきましょう。
まず言葉の成り立ちに関してですが、“variability” は次のような構造になっています。
vary(変化する) + ability(能力)
すなわち、“vari-ability” は変化する能力、可能性(≒ability to change)を意味しています。
一方、“variation” は “vary” という動詞の名詞形ですから、変化そのもの(≒change)を意味しています。
言葉の構造的には、以上のような違いがあります。
しかし実際にネイティブが書いた英文を見てみると “vari-ability” も “variation” も日本語にすれば単に『ばらつき』と訳せばいいような文脈で使われているのは確かです。
では、どんなふうに、この2語を使い分ければよいでしょうか。
経験的に “vari-ability” は『当然あるはずのばらつき』という語感を持っていると考えています。
どういう事かと言うと、例えば、同じサンプルを10回測定するとしましょう。
この10個の測定値はある範囲で当然にばらついており、厳密に言えば全く同じ値にはなりませんよね。
このような『当然に生じるばらつき』は “vari-ability” と表現されることが多いでしょう。
“vari-ability” で表される『ばらつき』は、排除しようがないもの、あるいは排除する必要がないものが多いです。
だから、上の例文のような文脈では “vari-ability” が使われます。
一方、“variation” はもっと広い範囲のばらつきを意味しています。“variation” はより上位の概念と言えます。
よって、“vari-ability” は “variation” の一部と考えることができるでしょう。
“variation” で表される『ばらつき』は、排除しようがないもの、排除する必要がないものだけでなく、排除すべきものも含めたその他全ての『ばらつき』を示しています。
そういうわけで “variation” の方がオールマイティーな表現と言えるのです。