「~の場合」の英語表現: in case of と in the case of を使う場面はあまりない

多くの日本人は、「~の場合」という英文を書くとき

 

in case of ~

もしくは

in the case of ~

 

を使いたくなるかもしれません。

 

しかし実は、技術系のドキュメントにおいて “in case of” や、“in the case of ” を使うべき場面はほとんどなく、大半は

 

  • if
  • when
  • for

 

を使う方が適切であることがほとんどです。

 

 

in case of ~の2つの意味


まず“ in case of ~ ”は、とても例外的な性格が強く、発生可能性も低いニュアンスとなります。

 

case” が無冠詞で用いられているため、ぼんやりとしたイメージとなり、まだ起こってない(現実味が薄い)発生確率の低い事象にしか使いません。

 

例えば、災害、犯罪、失敗、不良品 などが 万が一 あった場合という文脈で使われ、出来れば起こってほしくないネガティブな事象に対して用いられることがほとんどです。

 

in case of ~” には2つの意味があります。

 

  • 意味1. 万が一 ~が起こった場合は
  • 意味2. 万が一 ~が起こった場合に備えて

 

どちらかと言うと、意味1の使われ方のほうが普段、目にする機会が多いでしょう。

 

ホテルのエレベーターホールなどの掲示物で以下のような文を見かけることがあります。これらは 意味1.「万が一災害が起こった場合は」という例です。緊急事態が起こった後、つまり事後の行動を促す表現です。

<例文1>

In case of emergency, do not use the elevator. Use the evacuation stairways shown below.

訳)万が一非常事態の場合は、このエレベータを使用しないでください。以下に示す避難用の階段を使用してください。

<例文2>

In case of fire, the elevators are out of service. Use the exit.

訳)万が一火災の場合は、これらのエレベーターは使用できません。Exitを使用してください。

クレジットカードを利用すると、クレジットカード使用履歴の明細が送られてきますが、不正なカード決済がないか皆さんチェックすると思います。
以下の例も、意味1. 「明細に怪しい点があった場合は」です。

<例文3>

In case of errors or questions about your statement, telephone us at 123-456-789 as soon as possible.

訳)あなたの(クレジットカードの)明細に万が一間違いや疑わしい点があった場合は、できるだけ早く123-456-789までお電話ください。

 

製品の梱包明細書(Packing list)などで、以下のような文章を見ることがあります。
以下も、意味1. 「万が一初期不良があった場合は」の例です。

<例文4>

In case of concealed or obvious damage, contact the nearest sales office.

訳)外部から容易に発見できない不良あるいは容易に発見できる不良が万が一あった場合は、お近くの販売店にお問い合わせください。

 

以下は意味2.「万が一、良くないことが起こった場合に備えて」の例です。この「備えて」というのがポイントです。意味1が何か良くないことが起こった後の話をしているのに対して、意味2は何か良くないことが起こる前に備えてやっておいたほうがいい事について言及しているという違いがあります。

<例文5>

We recommend that you prepare a standard plate in case of physical damage or loss.

訳)万が一紛失したり物理的なダメージを受けた場合に備えて、もう1つの別の基準板を用意しておくことを推奨しています。

 

これも意味2.「万が一、何か失敗してしまった場合に備えて」の例です。用心のため、事前にやっておくべき事について説明しています。

<例文6>

In case of a spill, there are napkins by the corner to wipe up the mess.

訳)万が一(飲み物などを)こぼしてしまった場合に備えて、そこのコーナーにそれを拭くためのナプキンが用意してあります。

 

 

 

in the case of ~にも2つ意味がある

in the case of ~” の2つの意味は以下のとおりです。

 

  • 意味1. 万が一 ~が起こった場合は= “in case of ~”の意味1
  • 意味2. ~に関して言えば

 

ここで非常に厄介なことは “in the case of ~” も「万が一 ~が起こった場合は」という意味で使われることがあるということです。
【in the case of の意味1】【in case of の意味1】 は全く同じ意味なのです。

<例文7>

In the case of an emergency, dial 119.

訳)万が一緊急事態の場合は、119番に電話してください。

 

ただし “in the case of ~” に「~に備えて」の意味はなく、「何か良くないことが起こった後」のことについて言及しています。
【in the case of の意味1】が使用される頻度はかなり低く、その文脈であれば “in case of” が使われる場合がほとんどでしょう。
in the case of ~” は通常、意味2.「具体的な何かに関して言えば」で用いられることがほとんどです。
in regard to ~”等 と同じような使われ方をします。

<例文8>

In the case of our shop, the variation in thickness and width is our biggest selling point.

訳)弊社のお店に関して言えば、厚みと幅に関しては多くの種類の商品を扱っていることが大きなセールスポイントです。

 

上の例文には次のような背景があります。
「多くの競合店は全体の傾向として品揃えが悪い。しかし、弊社の店に関して言えば、群を抜いて品揃えが良い。」
in the case of” を使うことによって、そこだけスポットライトが当たったような感じなります。
一般的な決まり事や常識、全体の傾向はこうだけど、特にそこの部分に関して言えば、何か際立った特徴があるということを強調(prove a point)できます。

<例文9>

We tested five machines: No.1, 2, 3, 4 and 5. Most of the machines showed a similar result. In the case of No.2, it made a difference.

訳)我々は5台のマシン(1~5号機)を評価しました。そのマシンのほとんどが同様の結果を示しました。しかし2号機に関しては違いました。

in the case of” を使うことにより、2号機にスポットライトが当たり、全体の平均的な傾向とは逸脱したその特殊性が力説されることになるのです。



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