Sliding scale とは?その意味を最低賃金を例に考えてみました

Sliding scale について知りたいという需要がどの程度あるのか分かりませんが、ちょっと気になったので説明してみたいと思います。

 

Sliding scale とは一言で言うと、「経済の上昇下降に応じて、賃金や税金などの体系をスライドしますよ」ということになります。

 

以下から最低賃金を例にして、もう少し具体的に検討してみます。

 

多くの国々は貧困率というのが問題になっています。貧困率はある意味、治安の良し悪しを決定するバロメータになっている言えますから、富裕層にとっても他人事ではありません。

 

貧困率を下げるために政府が真っ先に思いつくことは「最低賃金を上げること」です。例えばアメリカのある州の最低賃金は時給9ドルだったとします。これを15ドルに上げれば理論上、貧困率を下げることが出来ます。

 

しかし1つ問題があります。

 

政府が最低賃金を上げる前に、時給15ドルもらっていた人はどうなるでしょうか?その人が時給が高い理由は、それだけ能力が高いからです。最低賃金が引き上げられたからという理由で、今まで時給9ドルだった人は15ドルに、元々時給15ドルだった人は15ドルに据え置きだと不公平です。

 

よってより公平にするためには、時給15ドルだった人も+6ドルして、21ドルにしてはどうかという考え方が生まれます。これが、Sliding scale の考え方です。

 

最低賃金引き上げを言うのは簡単ですが、Sliding scale に基づいて考えて見ると、実際に給料を支払う企業にとって全体をスライドする必要があるのでかなりの負担増になります。

 

結果的に、賃金の安い国々へと産業が逃げいていく構造となり、下手をすると、さらなる貧困率の上昇を招きかねません。

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